最近、KDPアカウントが停止されたという話を耳にすることがあります。
本人は「何も悪いことをしていない」と思っていても、話を詳しく聞くと原因らしきものが見えてくることがあります。
本と関係のないキーワードを入れていた。似た内容の本を何冊も出版していた。本文より宣伝のほうが目立っていた。
Kindle出版では、本を作ってKDPへアップロードできれば終わりではありません。
Amazonは、読者の誤解を招く記述や、本の内容を正確に表していない情報、読者が満足できないコンテンツを認めていません。
KDPのガイドラインに沿っていない本は、審査に通らなかったり、出版停止の対象になることがあります。
出版申請が通ってKindleストアに並んだからといって、その後もずっと問題なしという保証ではありません。
Amazonは、ガイドラインに沿っていない可能性がある本を調査し、必要に応じて削除することを明記しています。ある日突然、Kindleストアから姿を消していた・・・ということもあり得るのです。
わたしは2023年に『あゆ式 Kindle出版ダイジェストBOOK』という冊子を作りました。KDPでやっていいことと悪いことをまとめたものです。
当時のKDPとは仕様がかなり変わりましたが、今読み返しても変わっていないことがあります。
読者をだまさない。人の権利を勝手に使わない。読者がちゃんと読める本を作る。
売るための裏技や細かなテクニックより、まずここを守らないとKindle出版は長く続きません。
やってはいけない① 本と関係のないキーワードやカテゴリーを設定する
Kindle本は、見つけてもらわなければ読まれません。
そのため、タイトル、キーワード、カテゴリーを考えること自体は必要です。
問題になるのは、本に全く関係ないのに、世の中で検索されそうな言葉を何でも入れてしまうこと。
KDPでは、キーワードについて「読者がどんなトピックやジャンルの本を検索するか」を考えて設定するよう案内しています。
本で触れている内容を正確に表していないキーワードや無関係なキーワードは避けなければなりません。
たとえばダイエットについて書いた本なのに、
- 副業
- 投資
- 起業
など、本文と関係のない人気キーワードまで設定するのはNGです。ランキング上位を狙いやすそうだからと、本の内容とは違うカテゴリーを選んでも、SEO対策とは呼べません。
KDPでは、読者に誤解を与えたり意図的に誘導したりするキーワードやカテゴリーは認められていません。
SEO対策は、検索されそうな言葉を詰め込む作業ではなく、その本を探している読者と本を結びつける作業です。
キーワードを決めるときの手順
- 本のテーマを改めて思い出す。(書き出す)
- そのテーマについて初心者が検索しそうな言葉を考える
- Amazonで実際に検索して、表示される本を確認する
- 自分の本の本文に、そのキーワードについてきちんと書かれているか確認する
- 関係のない言葉は削除する
「検索されるから入れる」ではなく、「この言葉で検索した人に、この本を見せて大丈夫か」で判断するとズレにくくなります。
やってはいけない② 似た内容の本を何冊も出版する
AIを使えば、本を作る時間は以前より短くできます。
だからこそ気をつけたいのが量産です。
KDPの品質ガイドでは、Kindleストアですでに販売されている他の本と内容があまり変わらないコンテンツや、同じ本または複数の本で同じ内容の再利用、リサイクル、繰り返しが多く見られるものを問題として挙げています。
2023年に作った『あゆ式 Kindle出版ダイジェストBOOK』にも、
ページ数稼ぎ(印税稼ぎ)が目的の粗悪な本を作らない
と書いていました。
AIが普及した今、この注意点はむしろ確認しておきたいところです。
一冊出版した。
タイトルを変えて、少し書き換えてもう一冊。
章の順番を変えて、さらにもう一冊。
著者には別の本に見えても、読者が「さっきの本とほとんど同じ」と感じるなら、出版する意味を考え直したほうがいいでしょう。
冊数を増やすことが目的になると、誰のための本なのかわからなくなります。
やってはいけない③ 宣伝ばかりの本にする
Kindle本から自分のビジネスに誘導したい人は、ここも注意してほしいところです。
本の中で著者のサービスや問い合わせ先を案内すること自体と、「宣伝を主な目的とした本」は分けて考える必要があります。
KDPの品質ガイドでは、勧誘または宣伝を主な目的とするコンテンツを、読者の期待に沿わないコンテンツの例として挙げています。
たとえば、各章の終わりに毎回、
「LINEに登録してください」
「無料相談はこちら」
「講座に申し込んでください」と出てきたらどうでしょう。
またか……もうわかった!となりますよね。
わたしはクライアントのマーケティング目的のKindle本も制作していますが、売り込みを増やすことはおすすめしていません。
以前作ったビジネス向けKindle本の教材にも、売り込みをせず、読者が本を読んだあと著者へ連絡できる窓口を用意するという考え方を書いています。
何度もLINEやメルマガ登録を要求しない。あからさまなセールスをしない。
本の中身で信頼してもらい、必要になった人が問い合わせ先から連絡してくれるという形が理想です。
仕事につなげたいからこそ、本を広告チラシにしない。
そのほうが読者にも著者にも自然です。
やってはいけない④ 他人の著作物や権利を勝手に使う
わたしの2023年の資料でも、
- 他人の書籍やWebサイトから盗用、コピーしない
- 著作権のある画像を勝手に使わない
- 他人の本のデザインをまねしすぎない
- 引用する場合は出典を明記する
と注意していました。この考え方は現在も変わりません。
KDPは、出版者がアップロードするコンテンツについて、出版に必要な権利を持っていることを求めています。
必要な権利を持たないコンテンツをアップロードした場合、本の却下や削除、アカウント停止、ロイヤリティを失う可能性があると公式ガイドに記載されています。
ネットで見つけた画像だから。
AIが作った文章だから。
無料素材だから。
それだけでは、Kindle本に使ってよい理由にはなりません。
素材の利用条件や権利関係まで確認が必要です。
※AI生成物の著作権については、前の記事で詳しく解説しています。
→ AIを使うと著作権はどうなる?
やってはいけない⑤ 読みにくい状態のまま出版する
やっと出版申請ボタンが押せた!と、ここまで進むと完成した気になりますが、技術的にアップロードできることと、読者が快適に読めることは別です。
KDPは、読者の「快適な読書体験」を重要視しています。
出版前には少なくとも、
- 文字化けしていないか
- 誤字脱字が残っていないか
- 画像の文字が読めるか
- 目次から正しい章へ移動できるか
- 同じ文章が何度も入っていないか
- 表紙や本文の表示が崩れていないか
を確認することをおすすめします。
2023年の『あゆ式 Kindle出版ダイジェストBOOK』でも、原稿を何度も読み直して校正すること、オンラインプレビューアーなどで原稿の見え方を確認することをおすすめしていました。
KDPの現在の品質基準でも、Kindle Previewerなどを使い、表紙、目次、文字、画像などに問題がないか確認する手順が案内されています。
最後は著者自身の目で確認してください。
2023年に作った資料を読み返して気づいたこと
2023年と現在では、KDPの管理画面やカテゴリー設定など、変わったところがいくつもあります。昔のノウハウをそのまま使うのは危険です。
ですが、『あゆ式 Kindle出版ダイジェストBOOK』の最後に書いた考え方は、今もほとんど変わっていません。
読者のニーズに合った内容を作る。
内容と一致したタイトルをつける。
読みやすい本に仕上げる。
ガイドラインから外れた方法で印税だけを追わない。
AIが本を作ってくれるようになっても、Amazonの中に本を並べる相手は人です。読者が「この本を選んでよかった」と思えるか。出版前の判断基準は、そこに置いておきたいと思っています。
Kindle出版前のチェックリスト
出版申請ボタンを押す前に確認してください。
・本と関係のないキーワードを入れていない
・内容と合わないカテゴリーを選んでいない
・タイトル、表紙、内容紹介と本文が一致している
・過去に出した本と内容がほとんど同じになっていない
・宣伝や登録案内が本文より目立っていない
・他人の文章や画像を無断で使っていない
・使用素材の利用条件を確認している
・文字化けやレイアウト崩れがない
・画像内の文字まで読める
・目次やリンクが正しく動く
・Kindle Previewerなどで出版前の表示確認をした
KDPから連絡が来てから原因を探すより、出版前に確認したほうがラクです。
KDPのルールに迷ったら公式情報を確認する
KDPの仕様は変わります。実際、2023年にわたしが作った資料にも、現在とは違う情報があります。
古いブログ記事やSNS投稿だけで判断せず、出版するときのKDP公式情報を確認してください。
特に確認しておきたいのは、コンテンツガイドライン、Kindleコンテンツの品質ガイド、メタデータのガイドラインです。
審査結果や販売停止の理由がわからない場合は、KDPサポートへ問い合わせる方法もあります。
「前はできたから、今もできるはず」
KDPでは、この判断がいちばん危険です。
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