「本を出版してみたい」と思って調べ始めると、Kindle出版、商業出版、自費出版と、いくつもの出版方法が出てきます。
その結果、「結局、自分にはどれが合っているんだろう?」と迷う人は少なくありません。結論からお伝えすると、どの出版方法が一番優れているかという正解はありません。大切なのは、「何のために出版するのか」です。
本屋に自分の本を並べたいのか。
仕事につながる一冊を作りたいのか。
人生の記念として残したいのか。
目的によって選ぶ出版方法は変わります。
この記事では、それぞれの特徴を比較しながら、自分に合った出版方法を選ぶための考え方を紹介します。
出版方法を選ぶ前に、「出版したあと、何を実現したいのか」を決めましょう。
出版はゴールではありません。本をきっかけに読者へ価値を届け、その先の行動につなげることが、本当のスタートです。
Kindle出版は誰でもできる?
答えは「できます」。
Amazonが提供するKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)を利用すれば、出版社を通さずに個人でも電子書籍やペーパーバックを出版できます。KDPへの登録や出版自体に費用はかかりません。ただし、表紙制作や校正などを外部へ依頼する場合は、その費用は別途必要です。
だからといって、「誰でも印税で生活できる」「出版すれば仕事が増える」という意味ではありません。ここを勘違いすると、「出版した」という達成感だけで終わってしまいます。
出版サポートをしていると、「Kindle出版をすれば仕事になりますよね?」という質問をよく受けます。私はそのたびに、「出版はスタートです」とお伝えしています。
出版しただけで仕事になるなら、毎日何百冊も出版されるKindle本はすべて売れているはず。実際にはそうではありません。読者へ届ける工夫があって初めて、本は価値を発揮します。
商業出版・自費出版・Kindle出版の違い
まずは、それぞれの特徴を比べてみましょう。
| 比較項目 | 商業出版 | 自費出版 | Kindle出版 |
| 出版費用 | 出版社が負担 | 著者が負担 | KDP登録・出版は無料※ |
| 出版の自由度 | 低い | 高い | 高い |
| 発売時期 | 出版社が決定 | 自分で決定 | 自分で決定 |
| タイトル・表紙 | 出版社と決定 | 自由 | 自由 |
| 在庫 | 出版社管理 | 発生する | 電子書籍は不要、ペーパーバックはオンデマンド印刷 |
| 修正 | 増刷時(基本的に難しい) | 増刷時 | データ更新で改訂可能 |
※制作を外部へ依頼する場合は別途費用がかかります。
商業出版のメリット・デメリット
商業出版は、出版社が企画を採用し、編集・デザイン・印刷・販売まで担当する出版方法です。最大の魅力は、出版社の編集力や販売網を活用できることです。書店に並ぶ機会があり、実績として評価されやすいため、講演やメディア出演につながるケースもあります。
一方で、自由度は高くありません。出版するかどうかは出版社が決めます。タイトルや表紙、内容も編集者との相談で決まり、市場性が優先されることも珍しくありません。出版まで1年以上かかるケースもあります。
つまり、「出版したい人」が出版する世界ではなく、「出版社に選ばれた人」が出版する世界です。
★やってはいけない★
「商業出版なら全部売ってくれる」と思ってしまうことです。出版社には販売力があります。しかし、本が売れるかどうかは、著者自身の発信力や活動も大きく影響します。商業出版でも、著者がSNSや講演などで情報発信を続ける時代になっています。
自費出版のメリット・デメリット
自費出版は、自分で制作費や印刷費を負担して本を出版する方法です。内容を自由に決められるため、自分史、記念出版、作品集、社史などに向いています。
ただし、印刷費がかかるため、部数によっては数十万円以上になることもあります。さらに見落としがちなのが、出版後です。本が売れなければ費用を回収できません。在庫を保管する場所も必要になります。
★失敗例★
「本が完成したら終わり」というケースです。出版はできました。でも、そのあと販売方法を考えていなかった。結果として、段ボールに入った本だけが残ってしまう。これは自費出版では珍しい話ではありません。
Kindle出版のメリット・デメリット
Kindle出版は、Amazonの出版サービス「KDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)」を利用して、自分で出版する方法です。商業出版のように出版社を通す必要はありません。そのため、本のテーマ、タイトル、表紙デザイン、発売日、販売価格などを自分で決められます。出版後も内容を見直し、必要に応じて改訂できるのも大きな特徴です。
さらに、電子書籍だけでなく、紙の本(ペーパーバック)もオンデマンド印刷で販売できます。在庫を抱える必要がなく、注文が入った分だけ印刷・発送されます。これは自費出版との大きな違いです。
Amazonが提供するKDPは、個人がセルフ出版する仕組みとして非常に合理的です。しかし、自由であることは、同時に責任も伴います。
「誰でも出版できる」と「誰でも売れる」は違う
Kindle出版について、最も誤解されやすいのがこの点です。確かに、出版は誰でもできます。しかし、出版しただけでは読者には届きません。AmazonのKindleストアには、商業出版の本も、自費出版の本も、個人が出版した本も並んでいます。その中から一冊を選んでもらうには、
・タイトル
・表紙
・内容紹介
・キーワード
・カテゴリー
など、一つひとつの工夫が欠かせません。本を出版することと、本を読んでもらうことは別の話です。
出版サポートの現場で感じるのは、「売れる本」を目指す人ほど、出版前に時間をかけているということです。原稿を書くだけではありません。
「誰に届けるのか」
「読者は何に困っているのか」
「読んだあと、どんな行動をしてほしいのか」
ここまで考えている人ほど、出版後の反応が大きくなります。
Kindle出版で失敗しやすい3つの例
1. 本を書くことが目的になっている
「出版しました!」ここで満足してしまうケースです。出版はゴールではありません。読者に読まれ、行動につながって初めて、本の役割が始まります。
2. 誰に向けた本かわからない
「みんなに読んでほしい」そう考えるほど、本の内容はぼやけます。例えば、「初めてKindle出版する人」と決めるだけでも、書く内容は大きく変わります。
3. 出版後の導線を考えていない
本を読んだ読者に、次に何をしてほしいのでしょうか。
・メルマガに登録してもらう
・相談を申し込んでもらう
・セミナーに参加してもらう
・商品を知ってもらう
この導線がなければ、本は読まれて終わってしまいます。
どの出版方法が一番いいのか?
正解はありません。出版の目的によって答えが変わるからです。
書店に自分の本を並べたいなら、商業出版という選択があります。人生の記録として本を残したいなら、自費出版もよいでしょう。一方で、自分の知識や経験を仕事につなげたいなら、私はKindle出版をおすすめしています。理由は、自分の考えを自由に形にできるからです。もちろん、Amazonのガイドラインや法令を守ることは大前提です。そのうえで、自分の経験を一冊にまとめ、必要としている読者へ届けられます。
本は「仕事を広げる入口」になる
出版すると、「著者」という肩書きが付きくと言われることがあります。私は、それ以上に変わるものがあると思っています。それは、自分の仕事との向き合い方です。
本を書くには、
・誰に伝えたいのか
・何を伝えたいのか
・自分は何を大切にしてきたのか
・読者にどうなってほしいのか
これらを言葉にしなければなりません。その過程で、自分では当たり前と思っていた経験や知識の価値に気づく人がたくさんいます。
本は、読者のためだけに書くものではありません。著者自身が、自分の仕事を整理し、自分の価値を見つけ直す時間にもなるのです。
出版の価値は、読者の行動で決まる
私は、起業家や経営者のKindle出版を数多くお手伝いしてきました。出版の目的は人それぞれです。会社案内として出版する人。専門知識をまとめる人。新しいサービスを広めたい人。
成功している本には、一つの共通点があります。
読者が、本を読んだあとに行動していることです。
投資の本を読んで株式投資を始めた。
健康の本を読んで食生活を変えた。
Kindle出版の本を読んで、原稿を書き始めた。
読者が自分の経験と照らし合わせ、自分なりの答えを見つけて行動し始める。それこそが、出版の醍醐味だと思うのです。わたしのこの考えは、商業出版でも、Kindle出版でも変わりません。出版の方法は違っても、著者の役割は同じだからです。
読者に考える材料を渡すこと。
本が行動するきっかけになること。
そこに出版という仕事のいちばん大きな価値があると、私は考えています。
出版することを目標にしない
自分が積み重ねてきた経験を、誰かの役に立つ形へ変え、信頼という資産を育てていく仕組み。だから私は、「出版すること」を目標にはしません。
出版したその先に、どんな未来をつくりたいのか。
そこから逆算して、本の企画を考えます。その一冊が、クライアントの仕事を広げる入口になると信じているからです。
あなたは、本を出版したあと、読者にどんな行動を起こしてほしいですか?
相談してほしいのでしょうか。
講座へ来てほしいのでしょうか。
新しい挑戦を始めてほしいのでしょうか。
その答えが見つかれば、本のテーマも、届ける言葉も変わります。
本を書くことを目標にすると、「出版しました」で終わります。誰かの未来を動かすことを目標にすると、本は仕事を広げる入口になります。その違いが、一冊の価値を大きく変えるのです。
出版方法選びチェックリスト
次の質問に答えてみてください。
□ 書店に本を並べたい
□ 自分の考えを自由に書きたい
□ できるだけ早く出版したい
□ 本を仕事につなげたい
□ 出版後も内容を更新したい
□ 在庫を持たずに販売したい
3つ以上当てはまるなら、Kindle出版は有力な選択肢になるでしょう。
<こんな人にはこの出版方法がおすすめ>
| あなたの目的 | おすすめの出版方法 |
| 書店に並ぶことが夢 | 商業出版 |
| 記念として本を残したい | 自費出版 |
| 自分の知識を仕事につなげたい | Kindle出版 |
| 早く出版したい | Kindle出版 |
| 自由に内容を決めたい | Kindle出版 |
| お金をかけたくない | Kindle出版 |
よくある質問
Q:Kindle出版は本当に無料ですか?
A:KDPの登録と出版は無料です。ただし、表紙制作や校正などを外部へ依頼する場合は、その費用が必要になります。
Q:Kindle出版と商業出版はどちらが価値がありますか?
A:価値は出版方法ではなく、出版の目的によって変わります。どちらにもメリットとデメリットがあります。
Q:Kindle出版でから事が得られますか?
A:出版だけで仕事につながるとは限りません。本を読んだ人が次の行動を起こせる導線を設計することが重要です。
まとめ
商業出版、自費出版、Kindle出版。それぞれに魅力があり、向いている人も違います。大切なのは、「どの出版方法が優れているか」ではありません。
出版したあと、読者とどんな未来をつくりたいのか。
その答えが決まれば、選ぶ出版方法も、本の内容も自然と見えてきます。
Kindle出版ブログ学習ナビ
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