Kindle本の「はじめに」の書き方|入れる内容と作る順番

本を書こうと思ってWordを開き、最初に「はじめに」と入力したところで手が止まる。何から書けばいいのか、出版するきっかけから始めるのか、それとも自己紹介が先なのか。最初の数行を何度も書き直しているうちに、肝心の本文へ進めなくなった経験はないでしょうか。

「はじめに」は読者が最初に読むページなので、きちんと書こうとするほど難しく感じます。けれど、まだ完成していない本の内容を最初から正確に説明するのは、そもそも簡単ではありません。

わたしは、執筆前には材料だけを残し、「はじめに」の文章そのものは本文が完成してから書く方法をおすすめしています。

この記事では、Kindle本の「はじめに」を書くタイミング、入れる内容、本文完成後の作り方、初心者がやりやすい失敗まで順番に解説します。

目次

Kindle本の「はじめに」は本文を書いたあとでいい

読者が最初に読むページでも、最初に書く必要はない

本は「はじめに」から始まります。

だからWord原稿も「はじめに」から順番に書かなければいけないと思いがちですが、読む順番と書く順番は別です。

「はじめに」には、本を書いたきっかけだけでなく、誰に読んでほしいのか、この本で何がわかるのか、なぜ自分がこのテーマについて書くのかといった情報が入ります。

つまり、これから始まる本の案内役です。

案内するには、実際にどんな本が完成したのか著者自身が把握しているほうが書きやすい。最初のページだから最初に完成させる、という順番にこだわる必要はありません。

本文より先に書くと内容がズレやすい

目次まで完成していても、実際に書き始めると企画段階では見えていなかったことが出てきます。

予定していた事例を削ることもあれば、説明不足に気づいて内容を追加する場合もあります。書き進めるうちに、自分が本当に伝えたかったことがはっきりしてくることも珍しくありません。

たとえば「50代からのKindle出版」をテーマに、当初は印税収入について多く書く予定だったとします。

ところが完成した原稿を読むと、会社員時代の経験を棚卸しして本にする方法が中心になっていた。

それなら「はじめに」も、完成した内容に合わせるほうがいいです。

先に「この本ではKindle出版で印税収入を得る方法を紹介します」と書き切っていたら、本文とのズレが生まれます。

本文完成後なら、実際に書いた内容を根拠に「この本で何がわかるのか」を説明できます。

執筆前は文章ではなく材料だけ残しておく

「あとで書く」からといって、何も考えないということではありません。

企画や目次を作った段階で、次の4項目をメモしておきます。

項目 メモする内容
誰に どんな読者に読んでほしいか
悩み その読者は何に困っているか
読後 読み終えたあと何を持ち帰ってほしいか
著者 なぜ自分がこのテーマを書くのか

長い文章にまとめなくても大丈夫です。

たとえば「初めてKindle出版する人」「書籍用の文章の作り方がわからない」「自分の経験から原稿を書き始められる」「自分も原稿作りに悩み、現在は出版サポートに携わっている」といったメモでOK。

本文完成後、このメモと実際の原稿を照らし合わせて使います。

Kindle本の「はじめに」に書く内容

読者が抱えている悩みから入る

「はじめに」の冒頭から長い自己紹介を始めるより、読者が本を手に取る理由を書くと本文へのつながりが良くなります。

たとえば副業についての本なら、

副業を始めたいけど、自分にはビジネスにできるような特技も資格もない。そんな理由で、最初の一歩を踏み出せずにいませんか。

このように、想定している読者が「これは自分のことだ」と判断できる材料を置きます。

ここで扱う悩みは、本の本文で解決している内容に限ります。

「多くの人が悩んでいます」のような広い話にするより、実際にどんな場面で困っているのかを具体的に書いたほうが、この先を読む理由が伝わります。

この本でわかることを具体的に伝える

読者の悩みに触れたら、その本を読むことで何を知り、どこまで進めるのかを示します。

「役立つ情報を紹介します」では中身が見えません。

たとえば、

本書では、会社員として経験してきた仕事を棚卸しし、その中から副業に使える知識や技術を見つける方法を紹介します。

ここまで書けば、扱う範囲を読者が判断できます。

完成した目次を見ながら、「この本を一文で説明すると何の本か」「読み終えた人は何ができるようになるのか」を拾っていくと執筆がスムーズに進みます。

ここで欲張って、本に書いていない効果まで足さないこと。販売ページを魅力的に見せるコピーを書くのとは目的が違います。

著者がこの本を書く理由を入れる

「はじめに」には、著者自身について長々と書く必要はありません。ただし、読者から見て「なぜこの人が、このテーマについて書いているのか」がわからないのも困ります。

たとえば「定年前から始める小さな副業」という本なら、「はじめに」の文章は次のように作れます。

定年後の収入が気になっていても、いきなり起業するのは怖い。自分に何ができるのかわからず、考えるだけで時間が過ぎてしまう人もいると思います。

本書では、会社員として経験してきた仕事を振り返り、自分にできる小さな副業を見つけ、最初の仕事へつなげるまでを扱います。

わたしは30年間、会社員として営業と新人教育に携わってきました。50代になって副業を考え始めたものの、資格も特別な技術もない自分に何ができるのか、最初はまったくわかりませんでした。そこで自分の仕事を一つずつ棚卸ししたところ、長年やってきた新人への営業指導が、会社の外でも求められる経験だと気づきました。その経験をもとに小さく仕事を始めた過程を、本書では具体的に紹介します。

まずは、自分がこれまで何をしてきたのかを振り返るところから始めてみましょう。

「わたしも悩みました」だけなら共感で終わります。

そこへ、どんな経験をしてきた人なのか、その経験と本のテーマがどうつながっているのかを加えると、「こんなわたしだから、この本が書ける」が伝わります。

資格や華々しい実績がなくても大丈夫。介護の本なら実際に家族を介護した経験、転職の本なら自分が転職で試行錯誤した経験、趣味の本なら何年も続けて身につけた知識も、テーマによっては十分な根拠になります。

大きな数字を並べれば信用されるわけではない

特にビジネス書では、「はじめに」が急に実績発表会になる人がいます。

「売上○億円」「受講生○千人」「SNSフォロワー○万人」と数字を並べれば、著者の権威を示せると考えるからかもしれません。

実績が事実で、本の内容と関係しているなら掲載してもいいのですが、大きな数字だけで信用されるわけではありません。

たとえば営業の本なら、

営業歴20年、これまで3,000人以上のお客様を担当してきました。

という数字だけを書くより、

法人営業を20年間担当し、新人教育にも10年間携わってきました。本書では、営業が苦手な新人に教えてきた「初回訪問で何を話すか」を中心にまとめています。

と書いたほうが、この著者がなぜこの内容を書けるのかまで伝わります。

反対に、派手な実績を掲げているのに、本文を読むと誰にでも書ける一般論ばかりでは、数字の大きさがかえって逆効果になることもあります。

「はじめに」の著者紹介で必要なのは、経歴の自慢大会ではありません。

この本の内容と直接つながる経験や実績を選び、読者が「この人が書く理由はわかった」と判断できる程度に書く。

詳しいプロフィールは巻末に回せます。「はじめに」では、本を読むために必要な著者情報だけに絞ったほうが本文へ入りやすくなります。

本文完成後に「はじめに」を書く手順

完成した本文と目次を読み返す

本文を書き終えたら、すぐに「はじめに」を書き始めず、まず完成した目次と原稿を確認します。

見るのは、当初の予定ではなく実際に完成した本です。

特に確認したいのは、

  • 誰のどんな悩みを扱ったか
  • どこまで解説したか
  • 最も詳しく書いた内容は何か
  • 当初の企画から変わった部分はないか

企画段階のメモと完成原稿に違いがあれば、完成原稿を基準にします。

ここを飛ばすと、本文を書く前に考えていた企画をそのまま「はじめに」へ持ち込み、内容との食い違いが起こります。

4つを「完成文」ではなく「書き出しの型」として見せると、初心者が自分のテーマへ置き換えやすくなります。

たとえば「定年前から始める小さな副業」という本なら、こんな書き出しです。

項目 書き出し例
読者の悩み 定年後の収入が気になる。でも、今から新しい仕事を始められるのだろうか。そんな不安を感じている50代の会社員は少なくありません。
この本でわかること 本書では、これまでの仕事を振り返り、自分にできる小さな副業を見つけ、最初の仕事につなげるまでを紹介します。
著者がこの本を書く理由 わたしも50代になるまで、自分には会社の外で通用する特別な経験などないと思っていました。会社員として○年間○○の仕事に携わる中で身につけたことが、副業を始めるきっかけになりました。
本文への入り口 まずは副業を探す前に、これまで仕事で何をしてきたのかを書き出すところから始めます。

さらに「型」も添えると使いやすいです。

読者の悩み
「○○したい。でも△△がわからない」と悩んでいる人もいると思います。

この本でわかること
本書では、○○から△△までを、□□という方法で紹介します。

著者がこの本を書く理由
わたしは○年間、□□に携わってきました。その中で△△という経験をしたことが、この本を書くきっかけになりました。

本文への入り口
まずは○○から始めてみましょう。

本文への入り口になるよう整える

最後まで書いたら、「はじめに」だけを独立した文章として読むのではなく、第1章まで続けて読んでみます。

チェックするポイントは、4つ目の本文への入り口でまた本の説明をしないことです。
「本文への入り口」は第1章へ読者を渡す一文にすると、同じ説明の繰り返しを防げます。

反対に、著者の思いや出版した経緯だけで終わり、「結局、この本で何がわかるの?」となっていないか。

「はじめに」で読者が自分に関係する本だとわかり、何が書かれているのか理解した状態で本文へ進めれば、その役割を果たしています。

「はじめに」で初心者がやりやすい失敗

著者の自己紹介が長すぎる

本を書こうと思ったきっかけを説明しているうちに、子どもの頃の話、これまでの仕事、苦労した経験、現在の活動まで広がってしまうことがあります。

著者にとっては全部つながった話でも、読者が知りたいのは「この本を読む理由」です。

残すか迷ったエピソードは、
「この話がないと、なぜ自分がこの本を書いたのか伝わらないか」で判断します。

なくても本の背景が理解できるなら、巻末プロフィールや別の記事で紹介できます。

本文にない内容まで約束してしまう

「この一冊で副業収入を得られるようになります」と書いてあるのに、本文では副業の探し方までしか扱っていなければ、読者が期待した内容と違います。

特に執筆前に「はじめに」を完成させると、企画時点で予定していた内容をそのまま書いてしまいがちです。

完成後は、「はじめに」で読者へ伝えている内容と目次を照合してください。

「この本でわかります」と書いた内容に対応する章が見つからなければ、本文または「はじめに」のどちらかを修正します。

完成後はチェックリストで確認する

最後は文章を読み返すだけでなく、次の項目を一つずつ確認します。

□ 想定している読者が冒頭から判断できる
□ 「この本でわかる」と書いた内容が実際の本文にある
□ 執筆前の企画ではなく完成原稿を基準にしている
□ 著者紹介が本のテーマに関係する内容に絞られている
□ 実績や経歴を事実以上に大きく見せていない
□ 第1章と同じ説明を「はじめに」で繰り返していない
□ 最後から第1章へ続けて読んでも話が不自然に切れない

全部確認できたら、「はじめに」は完成です。

最初の数行が書けずに本文まで止まってしまうなら、Wordには「はじめに」という文字と4つの材料だけ残して、先に本文へ進んでください。

読者が最初に読む文章だからこそ、完成した本を見てから書く。そのほうが「この本は誰のために、何を書いた本なのか」を正確に伝えられます。Kindle出版の「今」の話はメルマガで

 

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