テーマが決まり、仮タイトルもできたら、早く本文を書きたくなります。書きたいことが頭に浮かんでいるほど、「忘れないうちに第1章を書こう」と始めたくなるものです。
ところが、数千文字ほど進んだところで、「この話はどこに入れる?」「前にも同じことを書いた気がする」「最後は何を書けばいいんだっけ」と止まることがあります。そこで自分の文章力を疑う人もいますが、原因が文章そのものではなく、本全体の設計にあるケースも少なくありません。
本文を書く前に目次を作っておくと、何を書く本なのか、どの順番で伝えるのか、今回の本には入れない内容まで見えてきます。
この記事では、Kindle出版が初めての人に向けて、本全体の流れを章単位で組み立てる目次の作り方を、具体例と手順に沿って解説します。
Kindle本は目次を作ってから書き始める
勢いで書くと途中で話の置き場所に困る
書きたいことがある人ほど、原稿の最初は進みます。
頭にある経験や知識を文章にしていけばいいので、第1章を書き始めること自体は難しくありません。問題は、いくつかの話を書いたあとです。
たとえば「50代から始める副業」という本を書いている途中で、会社員時代の話、仕事の探し方、副業に使えるスキル、お金の管理まで思いつくまま書いていくと、どこに何を書けばいいのか判断しにくくなります。
内容そのものは間違っていなくても、順番が決まっていなければ似た文章が別の場所にすでにあるかもしれません。原稿が進まなくなったとき、「書く才能がない」と考える前に、まず目次があるかを確認したほうがいいでしょう。
目次を作ると「今回書かないこと」が決まる
目次には、本に入れる内容を一覧にする役割がありますが、著者にとっては今回の本から外す内容を決める基準にもなります。
たとえば「初めてのKindle出版」を次のように分けたとします。
第1章 テーマを決める
第2章 読者を決める
第3章 目次を作る
第4章 原稿を書く
第5章 出版する
この段階で、初出版までの流れを扱う本だとわかります。
原稿を書いている途中でAmazon広告について詳しく書きたくなっても、今回の目次を見ると「出版後の販売施策までは扱わない」と判断できます。
思いついた話を捨てる必要はありません。別のメモへ残して、ブログや次の本に使えばいいのです。
知っていることを全部書くより、この本の読者に今必要な内容だけを残すほうが、本全体はまとまりやすくなります。
目次は読者が読む順番で並べる
目次を作るときに気をつけたいのは、著者が話したい順番と、初心者が理解しやすい順番が同じとは限らないことです。
Kindle出版を何度も経験している人なら、「原稿を書いて表紙を作り、KDPから出版申請する」という流れを知っています。
初めて出版する人は、その前で迷っています。
そもそも何を書くのか。誰に向けて書くのか。目次はいつ作るのか。原稿を何で作ればいいのか。
経験者には当たり前になった作業でも、初心者には順番そのものが情報になります。
目次は知識を分類する表ではなく、読者が理解しながら進める順番を作るものとして考えると、本の流れを組み立てやすくなります。
目次を作る前に本の範囲を決める
読者が今どこで困っているか確認する
目次を作る前に、読者の現在地を確認します。
たとえば前出の「初めてのKindle出版」の場合、「Kindle出版について知りたい人」では広すぎます。
KDPという言葉すら知らない人と、原稿は完成していて出版申請だけ知りたい人では、必要な章がまったく違います。
今回の本が、
Kindle出版には興味があるが、何を書けばいいのかわからず、まだ原稿を作っていない人
を対象にするなら、テーマ選びや読者設定から始める必要があります。
一方、出版申請だけを扱う本なら、企画の説明を何章も入れる必要はありません。
読者が本を開いた時点で何を知っていて、何がわからないのか。ここが決まると、第1章に置く内容も決めやすくなります。
読み終えたときのゴールを決める
読者の現在地を決めたら、本を読み終えたときにどこまで進んでほしいのかを設定します。
たとえば、
初めての人が、自分のKindle本の原稿を完成できる
「初めてのKindle出版」をテーマにする場合でも、どこまで扱うかは読者に設定したゴールによって変わります。
自分で原稿を完成させるところまでを目指すなら、企画から目次、執筆、Word原稿の準備までが主な範囲になるでしょう。出版申請や販売促進まで加えると、一冊で扱う情報量はかなり増えます。
目次を作る前に決めたいのは、読者がどんな状態でこの本を読み始め、読み終えたときに何ができるようになっているかです。
この二点が曖昧なまま章を増やすと、「これも関係ある」「あれも必要かも」と内容が広がり、本のテーマまでぼやけてきます。
読者の出発地点と到着地点を先に決め、その間に必要な内容だけを章として並べる。この順番で考えると、本全体の範囲を整理できます。
1冊で扱うところまでテーマを絞る
「Kindle出版について全部書く」のようにテーマが大きいと、目次も膨らみます。
企画、文章、Word、表紙、KDP、SEO、広告、販促まで入れようとすれば、一つひとつの説明が浅くなるか、非常に長い本になります。
初心者向けの一冊なら、「管理画面で出版申請するところまで」のように終点を決める方法があります。
この考え方は、過去資料にある「コンセプトがあいまいなまま書き始めると、何を伝えたかったのかわからなくなる」という出版設計とも一致します。
本のテーマが大きいと感じたら、内容を削るより先に「今回はどこまで扱う本なのか」を決めます。
Kindle本の目次を作る手順
1.最初と最後を決める
最初に、読者が本を開いた時点と、読み終えた時点を書き出します。
例として、初心者向けのKindle出版本なら、
最初
本を出したいが、何を書けばいいかわからない
最後
自分で原稿を完成させ、出版準備へ進める
と置きます。
この段階では章タイトルを格好よくする必要はありません。まず、本のスタートとゴールを一行で確認できる状態にします。
2.途中に必要な内容を章単位で並べる
次に、スタートからゴールまで進むために必要な内容を書き出します。
たとえば、
- テーマを決める
- 読者を決める
- タイトルを考える
- 目次を作る
- 原稿を書く
といった内容です。
ここでは細かな節まで作らず、大きなまとまりで考えます。
初めて本を組み立てる場合、わたしは4〜5章くらいから仮置きすることをおすすめしています。章を細かく分けすぎると、似たテーマが別の章に入りやすくなるためです。
章数に決まりがあるわけではありません。4〜5章で足りなければ増やし、2〜3章でまとまる本なら無理に増やさなくても構いません。
3.順番を入れ替えて仮目次を完成させる
材料が出そろったら、読者が実際に進める順番へ並べ替えます。
ここで見るのは、著者が話しやすいかどうかではなく、前の章を読んだから次の章が理解できる流れになっているかです。
たとえば「目次を作る方法」を説明したあとに「本のテーマを決める方法」が出てくると、読者は途中で戻る必要があります。
並べ替えたら、章タイトルは仮の言葉で構いません。
細かな言葉遣いや見出しの美しさを整えるのは、原稿が進んでからでもできます。この段階で必要なのは、全体を見渡せる仮目次です。
目次を作ったあとに確認すること
似た内容が別の章に入っていないか
目次を一度作ったら、それぞれの見出しで何を書くのかを確認します。
特に注意したいのが、生成AIを使って原稿を書く場合です。
昨今はChatGPTなどの生成AIを使って執筆する人が増えていますが、AIライティングでは内容の重複が起こりやすいので注意が必要です。
見出しのタイトルが違っていても、AIは同じ内容を平気で入れてきます。
原稿を読んでいると、
「さっきもこの話したよね?」
「また出てきた!」
ということが普通にあります。
たとえば、
「読者を決める」
「ターゲットを設定する」
という2つの見出しを作った場合、タイトルは違っていても、AIがどちらにも「誰に向けて書くのかを明確にしましょう」という同じ説明を書くことがあります。
具体例だけ変えて、最後は同じ結論。これも重複です。
数万文字を書いてから重複部分を探して削るのは、かなり面倒です。削ったことで前後の文章がつながらなくなり、さらに修正が必要になることもあります。
そこで、目次を作る段階から1見出し=1テーマに分けておきます。
「読者を決める」を扱った見出しでは読者設定だけを書く。「読者の悩みを調べる」は別の見出しで扱う。このように、それぞれの担当範囲を決めます。
さらに、各見出しの横に、
この見出しでは何を書くのか
を一文でメモしておくと、AIへ原稿作成を依頼するときにも使えます。
目次は読者のためだけに作るものではありません。生成AIで長い原稿を書くときの事前の重複チェックにも使えます。
AIに数万文字を書かせてから直すより、書かせる前に目次で重複を潰しておく。そのほうが、あとで原稿整理に追われません。
一部の章だけ詳しくなりすぎていないか
目次を見ると、著者の得意分野へ内容が偏っていることにも気づけます。
初心者向けの副業本なのに、第3章だけ税務について細かく10項目あり、仕事の見つけ方は1章だけ。これでは、読者が期待している本と内容の比重がズレている可能性があります。
自分が詳しい話は書きやすいため、つい量が増えます。
目次を一覧で見れば、どの章だけ大きくなっているかを本文を書く前に確認できます。必要なら別の本へ分ける判断もしやすくなります。
執筆前チェックリストで最終確認する
目次を作ったら、第1章を書く前に作業用のチェックをします。
□ 第1章から最後まで、読者が順番に進める構成になっている
□ 同じテーマを別の章で扱っていない
□ 今回の本では扱わない内容が決まっている
□ どこか一つの章だけ極端に大きくなっていない
□ 章タイトルを見れば、その章で何を扱うかわかる
□ 思いついた追加ネタを保存する別メモを用意した
□ 各章について「ここで何を書くか」を一文で説明できる
この段階までできれば、ようやく第1章を書き始めます。
目次は最初から完成版である必要はありません。原稿を書いて内容が変われば、章の順番を入れ替えたり、不要な章を削ったりして調整できます。
ただ、何も決めずに本文へ入るのと、仮の目次を持って書き始めるのでは、途中で迷ったときに戻れる場所が違います。
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